企画展示
2017年10月31日(火) ~ 2018年2月10日(土) ※ 期間を延長しました。
シカの角は昔から人々の興味を引いてきました。ラスコーの洞窟など石器時代の遺跡にもシカが描かれていますが、オスの角も正確に描写されています。日本でも武士が刀を置く台として使われたり、兜にも使われました。
シカの角は毎年1本づつ枝が増えてゆくのだとか、オオカミなどの捕食者に反撃するための武器だという人もいますが、正しくありません。シカの角はオス同士の力量を知るための器官であり、できるだけ多くのメスを確保するためのものです。
日本にはニホンジカというシカがいます。カモシカは「シカ」がつきますが、ウシの仲間です。世界にはヘラジカとかアカシカ、トナカイ、キョンなどさまざまなシカがいます。
この展示ではニホンジカを中心に、シカの角や保全のあり方などについて紹介します。
■ ケース1
ひとつのケースは、シカ全体を紹介するものとしました。世界のシカを紹介し、森林にいる原始的なキョン、温帯の森林にいるノロジカほど小型のシカ、ニホンジカ、北アメリカのミュールジカやオジロジカなどの中型のシカ、中国のシフゾウ、ユーラシアとキタアメリカにいるアカシカ、ヘラジカなどの大型のシカ、さらに絶滅した2種の大型のシカも紹介しました。
これらは模型を作りました。
シカが反芻する草食獣であり、特殊な消化器官をもつこと、枝角をもち、それがオスの社会的順位に深い関係をもつことを調べた本学の南正人先生の研究を紹介しました。また、最近日本各地でシカが増えていて、その影響が森林の生態系全体に波及することなどを紹介しました。
■ ケース2
もうひとつのケースには、おもにニホンジカの頭骨標本を展示しました。シカの角が一生のあいだに大型化、複雑化すること、また1年のうちで袋角から発達し、完成後、春に基部に離層ができて落ちることを模型で解説しました。またヤクシカ、ホンシュウジカ、エゾシカという地域変異の大きいことも示しました。
麻布大学いのちの博物館 公式twitter