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いのちの博物館だより

2019.06.03

東大和南高校でアウトリーチを実施しました。

5月30日に東大和南高校で本館のアウトリーチ(博物館活動)として、フクロウの巣に残された
ネズミの骨の取り出し学習をしました。この高校の生物の長谷川先生は以前、本館を訪問された
こともあり、今回、高校生に貴重な体験をさせたいということで高槻上席学芸員に相談があり、
アウトリーチが実現しました。
取り出しをしたのは八ヶ岳と弘前リンゴ園のフクロウのもので、はじめに高槻上席学芸員がスラ
イドを使ってフクロウ、ネズミの骨、八ヶ岳と弘前のリンゴ園の環境とその背景などについて解
説をしました。その後、サンプルからネズミの骨の取り出しをしてもらいましたが、高校生は集
中して作業をしていました。また持参したフクロウとネズミの骨格標本、ネズミの骨の粘土模型
などを興味ふかげに見ていました。
本館ではこども教室などの活動をするほか、アウトリーチもしていますが、高校生を対象とした
のはこれが初めてです。今後もこのような活動を行いたいと思います。

東大和南高①

【感想1】「フクロウも工夫して食べ物を選んでいる」
これまで骨の形を意識することはなかったが、実際に見てみて、形にしてもよくできているなと感じました。わかりづらい骨も面白い例えで探せたので楽しかったです。
今回の実験で八ヶ岳と弘前のフクロウを比べて、その地域によって食べたネズミに違いが見られた。また草原に住むハタネズミと森林に住むアカネズミを主食として、食べるネズミを変化させている。なぜ、フクロウはそれができるのか。私は食べているネズミが一方に極端に偏っていなかったことに着目した。好き嫌いで食べているわけではなさそうである。しかしその土地での獲物の取りやすさは関係があると思われる。人間が多様に食べるのと同じように、フクロウも多様に食べる事によって栄養バランスをとっているのではないかと考察しました。私たちの班にはサワガニを食べた痕跡があり、川から運んできたと思われる。また、調べてみたらフクロウのえさとして、ネズミだけではなく、ヒヨコ、ウズラ、コオロギ、ジャイアントミルワーム、ガなどがあった。これは種類が多いことと、環境に適応しやすい理由に繋がると思います。
今回先生のお話を聞いて、専門のシカの話など詳しく聞きたいと思いました。お話から色々な面から考察と圧倒的な知識が感じられました。夏休みの講習でも講師として出てくださるので時間の許す限り、参加したいと思っています。わかりやすく、楽しい授業をありがとうございました。

【感想2】
「フクロウの実習で感じたこと」
今回は普段経験できないような貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。私は看護師になるために「生物」を選択しているので、動物の習性や分析にあまり興味を持っていませんでした。しかし、今回の体験で非常に面白い分野だなと感じたし、骨を見て分析するのは医療にもつながるのかもしれないと思いました。
初めに高槻先生が行っている研究のお話を聞きましたが、とてもおもしろかったし、リンゴ園の話で人間の生活にも役立つ研究なのだと思い感動しました。
実際に土の中からネズミの骨を取り出して仕分けをしたときに、自分で骨の種類を見分けるのが楽しく、また骨の特徴を自分で発見できたことが嬉しかったです。ネズミではない骨が混ざっていたこともおもしろかったです。フクロウって味が分かるのかな、などたくさんの疑問が浮かんできましたが、高槻先生が丁寧に答えて下さって解決できて良かったです。ネズミの種類や数があごの骨を見ただけで分かることにも感動しました。骨を見ただけでそのネズミの境遇を想像できることがすごいと思いました。
今回の実験で普段学べないたくさんのことを学ぶことが出来ました。貴重な体験をありがとうございました。

【感想3】「農業報告とフクロウについて」
最初フクロウの巣からネズミの骨を取り出すと聞いた時に、取り出して何が分かるのだろうと疑問に思っていました。しかし今回の作業を通して巣からネズミの頭の骨を取り出すことによってフクロウが食べるネズミの種類やその数が分かることを知りました。今回八ヶ岳ではアカネズミが多く、弘前ではハタネズミが多いことが分かりました。弘前のリンゴ園でのハタネズミの被害に対して毒薬よりもフクロウを用いたことは自然にとって良いことだなと思いました。毒薬は本来自然にない科学的なものなのだし、人間が森林を伐採したことでハタネズミが増えてしまったのに、それを駆除するのはあまりにも勝手すぎると思います。これに対し、フクロウによる駆除は本来の生態系で成り立っていることなので自然には良い方法だと思います。しかしフクロウは元々アカネズミを食べていましたが、このような変化に応じてハタネズミを食べるようになったことは見逃してはいけないことだと思います。私たちが自然に手を加えたり奪ったりすることによって知らないところで動物たちもそれに応じて生活を変えているということをいつも考えてなければいけないと思います。それこそが自然との共存だと思います。今回の作業を通して自然について考えることができました。私たちのために来ていただきありがとうございました。

【感想4】「フクロウが食べたネズミを調べて」
今回の講座で、ネズミの骨格が種によって違うということを意識すると、違う見方ができるようになりました。ネズミの骨格が生息している環境によって変わってくることを、なんとなく理解はしていても、その骨を見てフクロウの食性を調べることができるということを知って、新鮮に感じました。また調べて分かったフクロウが森林伐採という人工的な環境変化にも対応できていて、人間と動物の共生は意外にも可能なのかもしれないと思いました。私は、フクロウがアカネズミを食べるということが、日本のフクロウに独自の習性らしいことが、気になりました。島国ということで、生態系の違いなどが関わっているのだろうかと興味があります。今回はネズミの骨から考察できてとても面白かったです。
まとめ
・フクロウはモリネズミを好んで食べるが、住む場所の生態系によっては、ハタネズミを食べることができる。
・ハタネズミの多い弘前では、アカネズミも食べるが、ハタネズミを多く食べる。
・また弘前ではフクロウが住む木がなくなったことで、フクロウは住処を移動しているが、食べる動物にモリ・ハタネズミのこだわりはないようである。つまり、フクロウは食生活ではなく、住生活によって住みつく場所を変えている。

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