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いのちの博物館だより

2018.05.25

博物館セミナー3「青根の蔵からお蔵出し この道具って何? 」

【目次】
 1. セミナーの概要
 2. セミナーの記録

 3. 参加者の感想(抜粋)
 ※ 読みたい項目をクリックすると、その項目の記事までジャンプします。

■ 1. セミナーの概要
 4月21日(土)に麻布大学いのちの博物館の企画展「あざおねって何?」の併設セミナー「青根の蔵からお蔵出し この道具って何?」が開催されました。
 当日は29人の来場者がありました。

■ 2. セミナーの記録
 いのちの博物館の村上賢館長のご挨拶に続いて、生命・環境科学部環境科学科の村山史世講師から青根および青根でのあざおね社中の活動や、企画展「あざおねって何?」の至る経緯、本日のセミナーの趣旨についての紹介がありました。

 次に、企画展「あざおねって何?」の展示を準備した学生からの報告がありました。
 まず環境科学科2年生の加川勇輝君から、展示した青根の道具を調査した経緯が報告されました。
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 加川君は高校時代に刀鍛冶に憧れていて、夏休みに刀鍛冶の修行にも参加していました。麻布大学入学後にあざおね社中の活動に参加した動機の一つは道具への関心でした。
 いのちの博物館での展示の準備のために、青根の人たちの蔵や倉庫を見せていただいた際に、「伝統的だが現在には伝わっていない失われた技術や道具」を見せてもらいました。
 報告では、企画展は展示しきれなかった佐藤二三男さんの道具を紹介してくれました。
 下の写真は蔵にあったフイゴです。金属を溶解させるために火に空気を吹き込むための道具です。
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 二三男さんの家では、自分たちで道具や刃物を打ち直していました。
 蔵の前には金床もありました。現在も使っているそうです。
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 実際にこの金床を使って直したのが、下の写真の急須です。
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 急須を買い直すよりも、道具を使って自分たちで修理するその姿勢に感動したそうです。
 調査を通して、自然とともにある仕事や生活に密着した道具の使い方をしている青根の人たちに感銘を受けたそうです。

 続いて、環境科学科2年生の杉森天真君から、ジオラマ作成についての報告がありました。
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 杉森君は、高校時代に演劇部で大道具などを制作していました。青根で鹿柵作りをするときに参加し、それ以来青根での様々な活動に参加しています。
 いのちの博物館で展示をするにあたって、3年前に先輩が作った田んぼのジオラマを核にしてジオラマを拡張する案がでました。そして杉森君たちは、最初からジオラマを作ることに挑戦してみました。
 ジオラマ作りは1月から2月の1か月で制作しました。ジオラマの作り方は誰も知らないので、ネットで調べたり、みんなで相談したり、様々な素材で試してみたりと、試行錯誤の連続でした。
 まずは、あらためて青根の風景を写真に撮って、ジオラマの構成を決めました。そして、発砲スチロールで土台を作り、鉄道模型店などで入手したターフや砂利などの素材で装飾してゆきます。畑や田んぼの土の部分にはコーヒーの粉も使用しました。木は針金にターフをボンドで貼り、ススキの茎は箒の先を、ススキの穂は歯間ブラシをほぐして使いました。
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 制作には時間と手間がかかりましたが、自分たちで工夫しながら青根の田んぼを再現した展示物を作成できたという貴重な機会でした。

 最後に、相模原市立博物館職員の井上泰氏から「青根で発見された木喰仏」についての報告がありました。
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 井上氏は青根出身で、合併前の旧津久井郡津久井町のときから津久井町史の編纂に関わり、合併後は相模原市職員として博物館で相模原市史の編纂にも従事しています。

 2016年に旧上青根自治会館の倉庫で6体の仏像を青根在住で、セミナーにも参加していた海老根英人氏が発見しました。海老根氏は友人の仏師に修復を依頼しました。
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 また、仏像が安置されていたとされる虚空蔵堂の棟札および虚空蔵菩薩の胎内札等の解読を井上氏に依頼しました。2017年3月に青根の長昌寺を調査に訪れた神奈川県歴史博物館の薄井館長および神野学芸員に確認を依頼した結果、いずれも江戸時代中期から後期の仏像であり、そのうち1体は木喰仏であることが確認されました。井上氏が編纂に関わった『津久井町史 文化遺産編』(平成30年3月刊行)にも木喰仏は写真で紹介されています。
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 木喰仏とは、木喰明満(1718~1810)およびその弟子の木喰白道(1755~1810)が全国を巡りながら彫った仏像です。青根の木喰仏は弟子の木喰白道の作のものであり、神奈川では初めて確認されたものです。

 質疑応答の後に、今回展示しきれなかった青根の道具をみなさんに触っていただきました。まだ使い方のわからない道具もありました。

 今回の企画展示やセミナーをきっかけに、青根の地元でも地域の文化を調べ直す動きが始まりそうです。あざおね社中は、今後も青根に関わり続け、青根とともに地域価値の共有・共創を行ってゆきます。
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■ 3. 参加者の感想(抜粋)
 生物学とは全く異なるお話を聞くことができて楽しめました。木喰仏という言葉さえ知りませんでしたが、仏様一体で色々なイマジネーションが広がりますね。村山先生の指導が楽しいからか、学生さんお二人のトークもウィットに富んでおり、本当にリラックスした時間を頂きました。 ありがとうございました。

 Very interesting! Looking forward to visit Aone tomorrow.

 環境教育の視点から始まった活動が地域の貴重なものと出会い、活動がどんどん大きく広がっていっていて、すばらしいと思いました。 今日参加したことで、今まで興味がなかった仏の世界にも出会い、また興味がわきました。 一番なぞなのは、法律の先生が始めたこの活動、出会いは何だったのでしょう?

 木喰仏について全く知らないで参加しましたが、仏様に対する当時の人の思い、現代の木喰仏への村山先生の思いが伝わりました。

 青根の現代~近代まで文化や経済の流れを理解できたような気がして組み立てのよいセミナーでした。

 「ないものねだり」ではなく「あるものさがし」の取り組みで、地元の方々も若者たちも元気になっていく素晴らしい事例を見せていただき、ありがとうございました!!明日の現地フィールドワークも楽しみにしています。

 私はあざおね社中です。今日は井上先生のお話を伺いたくて参りました。良い勉強ができました。ありがとうございます。

 展示を見て、あわせてセミナーで話しを聞いたことで、より理解が深まると同時に様々なことを考える機会となった。青根の人や昔の人にとって見慣れた道具も若い人、知らない人の視点で、再発見されたことの面白さを感じた。 木喰まんじゅうを、鳥沢のいろは屋さんで作って販売している理由が分かって、面白いものであった。

・あざおね社中のプレゼン
 青根で持続可能な活動をしてくれていることが改めて思い知らされ、感謝致しております。
・井上泰さんのプレゼン
 上青根の歴史の意味深さ、やはり青根はすごい所だと思いました。
企画、ありがとうございました。

 昔の青根が栄えていたことを伺い、歴史を掘り下げることの大切さを思いました。木喰については、勉強してみたいと思いました。

 青根再発見。発表者の青根に対する愛を感じました。先人達の生活のいとなみの中に今が有るのを痛感し当時の品々の価値の重みを感じました。本日はありがとうございました。

 学生二人のプレゼンの上手さ(面白さ)に驚いた。先生方も質問者達も話が簡潔で全く無駄がなく、心地よく聞けた。大変興味深い内容のセミナーであった。

 木喰仏とはどういうものなのかを知ることができた。今日の話を聞いて、あざおねとはどういうものなのかを知ることができて良かった。

 青根という地区を社会や経済という点から観ても、文化や生活から観てもとても重要で希少な話を聞くことができた。過去には盛んに行われた絹、機織、木炭や、馬や豚の飼育といった産業が、今日ほとんど行われていないことは、重大な損失であり、復活することができるなら復活させたいものである。また、道具や祭具といったところから見える文化の損失というものにも、考えるべき問題と言える。
 師弟同行型教育という、教師と生徒が一緒になって活動を行うことは、同じものを、複数の視点で見れたりできて、良いものだと思う。 加川君の話していた、昔の冶金技術に関する道具や、話していた見解は非常に興味深かった。鉞の縄の靭の消失、技術も是非とも復活を試みて欲しく思う。
 木喰仏や虚空蔵堂という貴重な物についての話は興味深かった。飯網権現という名前も聞いた事はあったが、それが鳥天狗と呼ばれるものであったのは初耳だった。
 木喰仏の作り方である、一本の木から削り出すという作り方は、昔ではとても高い技術が必要なものだと思う。

 青根の歴史は各地の歴史も同じに日毎に忘れられているのも実情。忘れられてしまうものが多いが、時間毎の生活史が記録されることはとても大切なものと思う。青根の中学校の校庭からは縄文時代の遺跡もあったなど、歴史をたどることに意味を感じた。 道具についての加川さんの報告からは昔の道具はシンプルでありながら、修復可能な使われ方をしてきたことが感じられ、現在の使い棄ての風潮に対し、「今も物を大切にしないといけないよ」と教えられた気がした。

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