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いのちの博物館だより

2018.12.18

12/15にワークショップ「フクロウの巣からネズミの骨を取り出す」を実施しました

12月15日にワークショップ「フクロウの巣からネズミの骨を取り出す」を実施しました。
親子連れを中心に31名の参加がありました。
以下は担当の高槻上席学芸員からの報告です。

【目次】
 1. フクロウとネズミの解説
 2. 分析作業
 3. 締めくくり
 4. 参加者からの感想
 ※ 読みたい項目をクリックすると、その項目の記事までジャンプします。

■ 1. フクロウとネズミの解説
 はじめに当日の内容の解説をしました。それは次のようなものでした。フクロウはネズミを食べることに特殊化した鳥である。八ヶ岳では八ヶ岳自然クラブが長年巣箱をかけて観察をしており、麻布大学で10年くらい巣に残されたネズミの骨を分析している。それによってわかったのは牧場に近い巣ではハタネズミの割合が高く、森に近いとその割合が低くなること。ハタネズミは牧場のような草原にいて草の葉や根など消化しにくいものでも食べるが、アカネズミは森林に住んでおり、果実や動物質など栄養価の高い食物を食べること。フクロウの巣に残った下顎でハタネズミとアカネズミは区別できることなどでした。

 それからネズミの骨の解説をしました。動物の骨にはむずかしい漢字で細かく名前がついており、とくに子供には覚えられません。それでこのワークショップではいくつかの骨にニックネームをつけることで覚えやすくする工夫をすることにしました。前肢の下、つまり肘から下を尺骨といいますが、この骨は上腕骨との関節部分が半円形にえぐれているので、見ようによっては人が大声をあげているように見えなくもありません。そこでこれを「歌うおじさん」と呼びます。腰骨は「寛骨」といいますが、これは左右が分かれて出てきます。それを見るとアルファベットのPに見えるので「P骨」としました。また後肢のヒザから下を「脛骨」といいますが、脛骨は腓骨と並んでいます。それがネズミの場合は癒合しているので「脛腓骨」と呼ばれます。これはバイオリンの弓に似ているので「バイオリン」としました。

               ネズミの骨の説明図


               ネズミの骨模型など

 そして、わかりやすくするために、昨年の企画展示で使った粘土模型などを紹介しました。

 もう一点、今年特別に説明したことがあります。それは弘前のリンゴ園のフクロウのことです。12月2日にNHK総合テレビで弘前のリンゴ園のフクロウのことが紹介されました(「青森のリンゴ園 救世主はフクロウ!」)。それはリンゴ園で働く人が高齢化したためにリンゴの大きい木が伐られて、作業のしやすい若い木に植え直したらネズミにかじられる被害が出るようになった。それに困って、殺鼠剤などで駆除しようとしたが効果がなかった。それは大きい木にはウロ(樹洞)があってフクロウが住んでおり、フクロウがネズミを食べてくれていたのに、それがなくなってネズミが増えたのではないかと考えてフクロウの巣箱をつけたら、フクロウが営巣し、その周りではネズミが減ったという話でした。私(高槻)はこの研究を指導した弘前大学の東先生と長年の知り合いで、相談の結果、そのリンゴ園の2つの巣から巣材を提供してもらうことになり、このワークショップで分析することにしました。

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■ 2. 分析作業
 
この説明の後、6つのテーブルにおいた巣材を分析してもらうことになりました。

分析を始める。写真の公開についてはすべて了解を得ています。

皆さんたいへん熱心に分析し、小さい子には長すぎるのではないかと心配しましたが、退屈することなく、集中して分析をしていました。

全体のようす

 
分析をする親子1

 
分析をする親子2

 
分析をする親子3

「これはなんですか?」
という質問に行ってみるとモグラの手だったので、標本を持って行って
「ほら、これと同じでしょう?足に比べてこんなに大きい」
「掘るからだ」
「そうだね、トンネルを掘るから手が特別大きいんだよ」
というと、歓声が上がりました。

mogura_te

 しばらくすると小さな男の子が取り出したものを持って来たので、見るとサワガニの体の腹部でした。これはK2という場所の巣から出たもので、周りが湿地なので、毎年サワガニが検出される場所です。

 子供達は学校でも理科の勉強をしますが、学校では主に理解して覚えるということをすると思います。でもここでは現物を目の前にして、実際にフクロウが何を食べていたかを自分が明らかにするということですから、楽しくて仕方がないようでした。

 そのほか、鳥の羽毛、胸骨、卵の殻なども出て来ました。弘前のサンプルからはハタネズミが多く出て来て、テレビの内容と符合する結果でした。

 途中で田中さんに八ヶ岳のフクロウを観察し、撮影した写真で、巣立ちの様子などについて解説してもらいました。

 
八ヶ岳のフクロウの観察結果を説明する田中さん

 初めて出会った人が会話をし、大人が子供に説明したりするなど、楽しい雰囲気で作業が進みました。

 
大人が子供に説明する

 
作業が進み、調べ終わった巣内の細かな物質が増えて来た

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■ 3. 締めくくり
 そうこうするうちにあっという間に終了時間の3時が近くなりました。それで感想文を書いてもらい、感謝状を渡しました。

 
感謝状を手渡す

 最後に記念撮影をしました。

 
記念撮影

 少し時間がオーバーしましたが、一生懸命考えながら長い感想文を書いている子もいました。
 今年は弘前のサンプルもあってかなりやり残したサンプルがあるので、来週もワークショップをすることにしました。結果が出たらこの欄で報告します。

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■ 4. 参加者からの感想
9歳男子
フクロウのすからネズミのほねを取り出すことができてとてもいいけいけんになりました。

9歳女子
はじめてさんかさせてもらったけど、高つき先生が、形や大きさをおしえてくださったので、たのしくほねをさがせることができました!!ありがとうございました。とくに、わたしがいんしょうにのこっているほねは「うたうおじさん」です。ほんものを見たらほんとうにうたっているおじさんみたいでした♫たのしかったです。

10歳男子
骨の名前が少し分かってよかったです。ネズミ以外のものもあって楽しかったです。このネズミはここにいる。このネズミはこっちにいる。のちがいが分かった。またきたいです。ありがとうございました。

10歳男子
今回は骨の形と名前が印象に残りました。P骨は骨に穴が空いているのでP骨になっていたり、尺骨が歌っている人に見えるので歌う人になっていることです。このことをおぼえておき、他の動物にその骨があるかどうか見てみようと思いました。また参加したいです。

10歳女子
今日の分析作業は、いい経験になりました!! 一番最初に、土を取って紙皿に入れた時、モグラの手の骨が入っていて自分でも目を丸くしました。そして、なぜかほとんどの骨が大腿骨で、少し上腕骨や下顎骨がまざっていました。鳥の口ばしや、下顎骨から歯を取ったりと、夏休みに行ったイベントと同じくらいにすごく面白かったです。
先生が1つ1つ丁ねいに教えてくれたり、分からないものがあると、くわしく説明して下さったので、いろんなことがたくさん覚えられました。次のきかくがあったら、また応ぼします!!

10歳女子
たくさんやってもきりがないのでおどろきました。時間を忘れるくらいおもしろいです。 出てきてほしいと思った。けん甲こつを3,4回目でようやく1つでてきました。あごの部分が4~5つありました。

10歳男子
ふだんはあまり体験しないフクロウの巣からネズミの骨を探してみるとネズミだけではなくさまざまな物があったのでおどろきました。ネズミにも種るいがあるのは知っていたのですが、どうやって種類を見わけるのか分からなかったので知る事が出来たので良かったです。

11歳女子
フクロウと猫のことが良く分かったので、良かったです。ネズミの骨を間近で見れたので良かったです。私は獣医師をめざしているので、良い参考になりました。

11歳男子
今日、骨を探す前、小さくて土とまざってわからなかったりして、30分くらいであきるだろうと思っていたけれど、やってみると楽しく2時間があっという間に感じました。 楽しく「頭骨」「肩甲骨」など、いろいろな骨があることを知れました。「すごい」「これを見せてくれませんか」など、ほかの人とも話せたりできて良かったです。地方、場所、気候などによって、とれるネズミなど、とれるもの、巣立ちの時季はちがうのかと、ぎもんになりました。今日はきちょうな体験をありがとうございました。またしたいです。

11歳男子
ぼくは新聞でこのことを知りました。ぼくは自分の中で、あまり骨はでないかな~と思ったけど、たくさんできてびっくりしました。またもぐらの手、鳥のくちばしもでてきてとってもたのしかったです。

11歳男子
いままでやったことがないようなことをいっぱいできてうれしかったです。フクロウのことやネズミの骨のことなどが分かってすごく勉強になりました。「ダーウィンがきた」をみたのでさらによく分かりました。ネズミの骨を見つけ出すということはやったことがなかったので、きちょうな体験ができたと思いました。できたら、ネズミの骨の部分の名前を覚えたいです。このイベントにきてよかったです。

14歳女子
ネズミじゃない動物の骨も思ったより入っていてびっくりした。かなり鳥やリスの骨がでてきた。ネズミの頭がまるまる1個でてきたときは、ちょっとこわくて、どうしたらそんな風になるんだろうとふしぎに思えた。また、虫の足、虫のさなぎ、ハチの巣まで出てきた。この巣はきょう存しているのかなとも考えた。今回、参加してみてよかったと思えた。

10代女子
骨集めとネズミの首が出てきたのが楽しかったです。ネズミの首をみていると少しかわいそうに思いました。フクロウは食いしんぼうだと思いました。

40歳女性
今日は初めてワークショップに参加させて頂きました。青森のりんご畑で、フクロウの住む木を切ったら、ネズミが増えてしまったが、フクロウが再び住めるようにしたら、またネズミが減り、農家と動物が共存できるという事に嬉しい気持ちになりました。ヒトとフクロウとネズミが良いバランスで生きていける世の中になったら良いなと思います。 骨の分類もとても勉強になりました。色々なものが出てきておどろきました。なかなかこういう機会はないので、興味深かったです。ありがとうございました。

40歳女性
どういう場所に何ネズミがいるのか解説を聞くことで楽しく骨を探せました。フクロウの巣箱をしかける活動にも関心がわきました。実物をさわる貴重な体験をさせて頂き、楽しかったです。また、こういう講座がありましたら、参加したいです。ありがとうございました。

42歳女性
見ていてかわいいと思っていたフクロウの生態を知るとても良い学びの場でした。ネズミの体の構造を知る機会はこれからもない?かもしれないので骨を見ておどろきでした。子供も集中して1時間以上作業しました。先生をはじめ、皆様に親切にしていただき、ありがとうございました。子供はとても楽しかったそうです。

44歳男性
普段それほど気にしていない巣の中にも色々な情報を得ることができるのだと知った。また、機会があればこのような体験に参加したいと思います。

46歳女性
フクロウのエサのとり方だけでなく、ネズミの特徴や違いも教えていただき、大変興味深いものでした。また、ネズミ以外の色々な動物の骨が出てきたので、多様な世界だなあと感じました。とても小さい骨なのに、先生はすぐに何か判るので、さすが専門家!!と思いました。

46歳男性
フクロウの巣からネズミの骨を探し、さらに骨の種類ごとに仕分ける作業はなかなか体験できないことであり、とても楽しかったです。子供にとっても貴重な体験となり、動物の生態や体の仕組みを学べ、良かったと思います。ありがとうございました。

40代男性
色々な骨が出てきて大変楽しかったです。森ネズミとハタネズミの違い、森を狩場とするフクロウと牧場を狩場とするフクロウの戦略の違いも興味深かったです。

40代男性
高槻先生が様々な背景や根拠を示してくださったので、大変興味深く参加させていただきました。先生がおっしゃったように、実物に触れることが子どもたちには大事だと思います。短い時間ではありませんでしたが、娘も集中して、かつ細部まで観察をしておりました。先生には多様な質問にも快く答えていただき感謝しております。ありがとうございました。また次回も参加したいと思います。

48歳男性
これまで知らなかったフクロウとネズミの生態を大いに勉強させていただき、またフクロウになった気分で実感することができました。ネズミの骨の小ささと精密さに驚きました。貴重な機会をいただきありがとうございました。

55歳女性
フクロウの食性をよく見ることができて、とても面白く興味深かったです。もっと長時間でじっくり分類できても良かったと思います。リンゴ畑のフクロウとの共生については、とても素晴らしいと思います。
<博物館:ありがとうございます。子供の参加があったので、2時間を限界と考えました>

60代女性
フクロウに興味があり申し込みました。案内を読んで自分にもできるだろうか?と思いましたが、意外にも多くの骨を見つけることができ、うれしかったです。始めると作業に夢中になり、眼鏡(老眼鏡)を忘れて「しまった!」と思いましたが、ルーペを持っていて役に立ちました。
ネズミの種類もわかったり(2種類ですが)骨のつながり方も知ることができ、良かったと思います。先週の「ダーウィンが来た!」を楽しく観ましたので、今日とのつながりがあり、とてもよい機会になりました。ありがとうございました。

70歳女性
ネズミのこと大変参考になりました。昨年も参加しましたが、いつもながら骨の分別になると判断迷うことが多く、まわりの方と「これ何~?」とききながら楽しくできましたが、習得までは仲々~。ありがとうございました。

71歳男性
野鳥観察はよく出かけますが、ペレットの分析ははじめてで、実際のものを目前で見て良い経験でした。こういう作業を続けられるのは大変ですね。頭が下がります。フクロウの姿を見ることは何回かしましたが。

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