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いのちの博物館だより

2019.08.17

モグラの手

 アズマモグラの手が大きいことを紹介しましたが、下の写真左のように手のひらの皮も厚く、爪も長くて力強く土をかき分けることがでそうです。これは右手なので一番右側の指が親指です。よく見るとそのさらに右側が膨らんでいて、ちょうど野球のキャッチャーミットの「土手」のように見えます。その骨を見ると、ブーメランのような骨があることがわかります。鎌にも似ているので「鎌状骨」と呼ばれますが、上側から見るとわかるように、指の骨のように手首からの骨に関節でつながっていません。厚い手の皮の中に浮かんだような状態です。
 実はそれが鎌状骨のポイントで、このおかげで土を掘るときの面積が広くなって効率的に土がかけます。ウチワで扇いだ方が風が来るのと同じです。しかし考えてみればわかりますが、大きな手で土をかこうとすると大変な力がかかります。そのためモグラの腕や胸には太い筋肉がついており、「マッチョ」な体型をしています。それでも手のひら面積が大きすぎるとかけないほどの力がかかるはずですが、その時は宙に浮いたような鎌状骨が折れ曲がるので少しですが、手のひらの面積が狭くなって荷重が減るわけです。
 動物の体というのは実にうまくできているものです。
モグラの手

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