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いのちの博物館だより

2019.12.04

『モモンガ・マント』 上席学芸員 高槻 成紀

2019年11月1日(金)に相模原市立淵野辺小学校の4年生114人が来館しました。小学4年生ではヒトの体の作りを勉強しますが、その関連で動物の体も勉強することになったようです。そこで本館に展示している骨格標本から動物の大きさと形について解説することにしました。骨格標本はそれだけでも興味深いものですが、本当に学ぶべきは、動物の骨にある、生きるための工夫を読み取ることです。大きいことにはどういうプラスとマイナスがあるか。そういう問いかけをして見ることが大切です。
はじめにゾウとハムスターを比較するコーナーでゾウが3トンほど、ハムスターは30グラムほど、4年生だからだいたい30キログラムとして、ハムスターに比べてヒトは何倍か、ヒトに比べてゾウは何倍か、そうするとハムスターとゾウは何倍違うかを考えてもらいました。すぐに答えを出す生徒もいました。
20191101_淵小①
【ゾウの解説をする】

次に「形」の説明に移りました。壁面にいくつかの動物の前肢が展示してあります。イルカ、コウモリ、モグラなどを取り上げて、同じ前肢が生活の目的によっていかに大きな違いが生じたかを話しました。
「もし先生がコウモリだったら、手の長さはあの壁くらいあるんだよ」と展示の壁の端を指さしたら歓声が上がりました。サルの親指が他の4本の指と向かい合っているわけ、サルの目が顔の正面についているわけなどを考えてもらいました。
「ヒトはサルだから他のサルと同じように目が左右でなく正面についてるね。なんでだと思う?」いくつか意見がありましたが、最後に「枝にジャンプするから」と正解が出ました。
「両方の目で見るから正確にわかるんだよ。片目をつぶって両手の人差し指を伸ばして、だんだん近づけてごらん。結構ぴったり合わないでしょう。でも、両目で見ればだいたいうまくいくね」

20191101_淵小②
【立体視の解説をする】

「そういうふうに、動物は生活の必要に応じて、さまざまな形を持っているんだけど、今日は特別にモモンガの話をします。モモンガというのは木に登るのが得意な、リスやネズミの仲間です。テンのような動物に食べられることがあるので、急いで木を登って逃げて、高いところまで行ったらそこから飛び降りるんだけど、紙飛行機みたいにふわりと遠くまで飛べるんだ。そういう飛び方を<滑空(かっくう)>と言います。そのために<皮膜(ひまく)>という膜を持っています。前の腕と後ろ足のあいだに毛布のようなものです。今日は先生がその皮膜を作ってきたので、ちょっと待っていてください」と言って一度生徒の前から消えて、麻布(あさぬの)で作った「皮膜」を着用して現れました。

20191101_淵小③
【麻布(あさぬの)で作ったモモンガの「皮膜」を示す】
ポイントは手先に割りバシがあって、ただでさえ広い皮膜をさらに広くしている点です。実際のモモンガの手そのものはリスなどと違いはありませんが、手の外側に長い軟骨があります。針のように長いので「針状軟骨」と呼ばれます。
20191101_淵小④
【モモンガの針状軟骨。下の黄色い部分はわかりやすいように写真の上に描いたもの】
これをわかりやすく描くと下の図のようになります。
20191101_淵小⑤

針状軟骨の説明
それから実際のモモンガの軟骨を見てもらいました。
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【モモンガの骨格標本で針状軟骨を説明する】
20191101_淵小⑦
【モモンガの骨格標本】

最後に簡単に作れるモモンガ・マントの作り方を説明しました。ゴミ袋用のポリ袋を広げて、首の部分にヒモをつけ、両端に割りバシをつけます。女子生徒に身につけてもらいましたが、用意したポリ袋が少し小さかったみたいで、きゅうくつそうでした。
20191101_淵小⑧
【ポリ袋で作ったモモンガマントを身につけた女子生徒】

学校現場では、理科は知識を暗記することになりがちですが、理科のおもしろさ、特に生物学のおもしろさは本物の生き物を見ないと伝わりません。そして楽しみながら学ぶことが大切です。その意味で、博物館で本物の標本を見て、こういう工夫で遊びながら学ぶことのきっかけになれば良いと思いました。



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