11月9日(日)、いのちの博物館10周年記念企画・博物館解説サークル"ミュゼット"によるワークショップ、「じぶんで骨格標本をつくってみよう!」を開催しました。
このイベントは、博物館での解説が来館の皆様に大人気の博物館サークル"ミュゼット"が、企画立案、準備、運営、指導まですべてを担う初めてのイベントで、募集開始から短時間で予約枠が埋まってしまうほど注目度の高いものとなりました。
メンバーはこの日のためにマウスを解剖して標本を準備し、初めての参加者でも分かりやすい資料を用意し、博物館こども教室等で講師をしてくださっている獣医学科の大石先生に指導をしていただくなど、着々と準備を進めました。
いよいよ開催当日。
ハンズオンコーナーでイベントを行うのは、開館10年目にして初めてのことです。

この日参加者に組み立てていただくマウスの骨格標本も準備万端です。


イベントは前半の小学生の部、後半の中高生の部に分かれて開催しました。
《小学生の部》
小学生の部のほとんどの参加者にとって、標本作りは初めての体験です。ほぼバラバラになったマウスの骨を、部位を確認し左右に気をつけながら、紙の上に配置していきます。






とても根気のいる作業ですが、ミュゼットのメンバーの指導と保護者の方の声かけを参考に、みんな着々と作業を進めます。
骨を紙の上に配置したら、次に台紙にボンドで貼り付けていきます。


木工用ボンドの扱いに苦心しながら、徐々にマウスが形になって表れます。
とても素敵な標本が完成しました。自分が作った標本はそれぞれお持ち帰りいただきます。
参加者のご感想をご紹介します(一部抜粋)。
・「説明してくれた方がやさしく分かりやすく教えてくれました。骨格標本を作るのが初めてでしたが完成することができました」(小学生) 「想像していた以上に標本作りが難しかったです。緻密な作業が求められましたが、こどもはよく集中して作業していたと思います。案内してくださったお兄さんがとても親切で、ありがたかったです。またなにかイベントがあれば参加したいです」(保護者)
・「手や足の向きを気をつけて作ることが大切だと分かりました。マウスなのでとても小さい骨がたくさんあり、並べるのが難しかったです。逆に大きめの頭やせきついは、持つ場所に気をつけてできました。骨の向きを考えて、冷静にやった方がきれいにできて良いと思いました。見本の紙とどれだけ同じように完成できるかを考えて作ることができました。骨格標本を作るには、骨はせんさいだから、しんちょうに作る大切さを学びました。歯が黄色なのも分かって良かったです。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。(小学生)
・あたまを組み立てるのが難しかったけれど組み立てられてよかったです。とてもじょうずにできてうれしかったです。いい思い出になりました。ありがとうございました。(小学生)
・どれがどこの骨かは分かったけど、台紙にはりつけるのが難しかった。つめのところに毛がついているのが素手でさわったら気持ちよさそうだと思った。(小学生)
・ほねの名前、位置を知れました。むずかしかったけど、とても楽しかったです。またやりたいです。ほねが全部組み合わさって1つの物ができるというほねのしくみがおもしろいと思いました。(小学生)
・骨が意外に小さくて、むずかしかった。でも、こまかい作業が得意なので楽しかったです。よく骨を見てみると、骨と骨をくっつけられるへこみがあったり、つめや歯がよく見えた。骨の種類が想像よりたくさんあってすごかった。(小学生)
・さいしょのころは骨の名前すらわからないのがあったけど、おねえさんがとてもていねいに骨の名前と向き(左右)を教えてくれて、さいごの方にははじめより骨の名前をおぼえて帰りました。とても楽しかったです。(小学生)
《中高生の部》
中高生の部になると、骨格標本作りの経験がある参加者もチラホラ・・・大学生と年齢も近く、興味が同じ者同士の和やかな雰囲気でイベントがすすみました。
時にはハンズオンコーナーに展示中の全身骨格標本を参考にして、ミュゼットとの会話も弾みます。
骨の配置が終わると、さすが中高生、貼り付ける作業はあっという間です。
素敵な標本が次々と完成しました。
時間に余裕があった参加者の方には、ボンドが固まる時間を利用して、ミュゼットが用意した本物の骨格標本を使ったパズルで動物の関節の仕組みを考えていただきました。
立体で標本を完成させた参加者も!
参加者のご感想をご紹介します(一部抜粋)。
・初めて骨格標本を作ったのですがとても楽しかったです。説明や作り方も分かりやすくてしっかりと作りきることができました。説明の途中で、資料などを見せてくださり、知識を深めることができました。
・骨格標本の組み立て体験と聞くと難しそうで行くか迷っていたけれど、行って良かったです。骨の名前やどの部分なのかなど、分かりやすく教えていただきありがとうございました。とても面白かったし、勉強になりました。
・今回初めて骨格標本を体験してみて、骨の動き方や組み立て方がよく分かりました。初めてイヌの骨やネズミの骨をさわれてとても良い体験になりました。教えてくれた先生達や大学生の人たちの説明もすごく分かりやすくて、最後の方に触らせてくれたイヌの骨の肘の動きがとても分かるようになりました。まだ大学とか高校は決まっていないのですが、動物に興味があるのと、今回の骨格標本でもっと興味がわきました。
・私も家で骨格標本を作っていてすぐボロボロになったりしてしまうので、今回本や目安を教えてくれて勉強になりました、今まで肩甲骨の向きなど分からなかったから見分け方を知り、更に興味をもちました。骨がピタッとはまったとき気持ちがよかったです。こうして教えてもらえることがまたあったらぜひ参加したいです。とても楽しかったです。
・初めて骨格標本を作りましたが、一から丁寧に教えてくださったおかげでキレイに仕上げることができました。私の座った場所に置いてある骨はほとんどつながったままで残っていたのですが、他の骨を探してきていただいたので、手の指までダンボールに貼り付けることができて、とてもうれしかったです。 大学でのお話しもたくさん聞けて、自分の進路についても考えることができました。参加できてよかったです。
・今まではラットでしか骨格標本を作ったことがなくて、この小ささでは組むのが難しかったですが、最後まで協力してくださりうれしかったです。学生さんたちと進路の話もたくさんできて、視野が広がりました。またミュゼットの皆さんと関わる機会ができるように、勉強を頑張りたいと思えました。 知識はあっても、あまり人に説明する機会はなかったので、興味をもってもらえるような伝え方を学べました。
《イベントを実施して》
今回のイベントで主担当として活躍したミュゼット幹部の学生さん(獣医学科2年)から、感想を寄稿していただきました。
「ミュゼットとして博物館の解説活動を行う傍ら、博物館の標本についての造詣を深めることも我々の活動の一部です。そのため、自ら標本を作製し自身の標本を解説することは骨や組織を理解し、動物と人の生命のしくみを解き明かす手助けとなると考えています。今回の10周年企画は、参加者が博物館を見に来る人から博物館をつくる人の景色を見られたらいいな、と思いこのワークショップを提案させていただきました。標本を見る側と作る側を体験し、何か感じていただけたらうれしいと思っていました。
実際に骨格標本をつくってみて、骨のしくみに関心を寄せた方もいれば、標本づくりに魅力を感じた方もいらっしゃいました。勉強熱心な方々が多く、皆さんの疑問にすべてお答えできたのか一抹の不安は残りますが、その熱心な姿に部員全員で最後まで熱量をもってお応えできたと実感しています。もしそのとき抱いた疑問や興味を今後探求してもらえたら、私たちにとってこの上ない達成感を得られると思います。
いのちの博物館は「大学の出窓」として学問を垣間見られるものとして建造されました。人と動物どちらの生命も探求していく大学の博物館ということでこの名がつけられたそうです。この博物館に訪れ、展示を通じてその探求の軌跡をたどることができます。私たちはその展示が何を意味するのか人々に知っていただき、展示物が博物館で第二の人生を歩めるようお手伝いしています。今回の企画でいのちの博物館が出窓として役目が果たせていることを願っています。
最後に、いのちの博物館10周年という節目の年にミュゼットサークルとしてこの企画を行えたことを光栄に思います。この先もいのちの博物館とともに展示の魅力を伝え続けていけたら何よりです。」
このたびは麻布大学いのちの博物館10周年記念イベントにご参加頂きありがとうございました。20周年に向けて、より一層発展する麻布大学いのちの博物館にも、どうぞご期待ください。
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